メンチかつを早く食べたいと数日前から落ち着かない。
自転車で店に向かう。
私が店に入る直前に常連さんが入る。
その方も私もカウンター席に着き、マスターの話を聴いてメンチかつを待つ。
また、秀ちゃんの慎重さを垣間見る。
メンチかつができあがり、配膳される。
メンチかつの断面の両端を箸でつまみ、わき上がる肉汁を確認する。
儀式
を行い、心が満足する。
断面はいくつもの大きくカットされた肉と玉ねぎによって埋め尽くされている。
視覚でも満足する。
そして食べる。
うまい… 甘くうまい。
口に入れた瞬間から赤身の旨み、脂身の甘み、玉ねぎの甘みが融合したうまさが爆発的に広がる。
配膳されてから数分も経っていない揚げたての香りも良いが、少し温度が下がって旨みをじっくりと味わうのも良い。
カットされた肉の歯ごたえはとんかつの完全な塊の肉のそれと異なる。
脂身も然りだ。
マスターや常連さんの話にも出たが、料理は温度が重要だ。
そこが難しいところでもあるが、おもしろいところでもある。
今回のメンチかつも素材と温度を十分に活かしたうまさだった。
1,900円、今日もごちそうさまでした。
私は
旨いに流儀なし
とする以上、素材の旨さが最も引き出せればその方法を問わない。
しかしこれと矛盾して、一瞬の美にこだわるところがある。
とんかつは衣を纏わせた生の肉を油で揚げる究極の蒸し料理だ。
最も旨い状態を見極めるマスターの技は一瞬の美とも言える。
2023/09/20 14:21