とんかつ栄ちゃん、今回の限定とんかつの豚は幻豚(4回目)

前回を思い出すと心は踊る。
雨は上がり、濡れた道路を早歩きで進む。

店に入る。
レトロゲームマスターの常連さんを発見し、そのお隣に座る。

マスターから揚げる前の肉をみせていただく。
脂身は赤身を抱えるかのように乗る…
すばらしい。

とんかつができるまで、私と常連さんとマスターは豚の話で盛り上がる。
豚が取り持つ縁である。

常連さんのとんかつは先にできあがり、その断面を見せていただく。
赤身は色の濃い赤身と白っぽい赤身とが層を成す。
見るからに旨そうだ…

そして自分のとんかつもできあがる。
肉の断面を見ると、脂身はその2/5を占める。
楽しみだ…

まず赤身から食べる。

部位の違いで私の肉には色の濃い赤身はない。
白っぽい赤身の歯ごたえはふわふわと柔らかい。
軽く噛むだけで旨味が口の中を駆け巡る感覚はすばらしい。

脂身もすばらしい。
融ければ澄んだ水のような良質の脂である。
量が多いため、融ける感覚を長く楽しむ。
その感覚はまるで夢を見ているかのようである。
幻豚の幻はこの感覚のことを意味している思うほどだ。

今回もすばらしかった。
気づけば私は常連さんより早く食べ終わっていた。
2,400円、今日もごちそうさまでした。

幻豚(2015/01/30)

歯ごたえ
やわらか←☆★☆☆☆☆☆☆☆☆☆→しっかり
赤身の味わい
淡麗←☆☆☆☆☆☆★☆☆☆☆→濃厚
脂身の旨み
ほのかに←☆☆☆☆☆☆☆★☆☆☆→しっかり
メモ
すばらしい脂身で得る感覚は夢か幻か?
食べ終わっても会話は続き、豚の1日という話になる。
豚の肥育期間である8~10ヶ月は人間だと7歳に相当するらしい。
単純に 10ヶ月 : 7年 = 1日 : x日 を解くとx=8.4を得る。
豚の1日は人間の8.4日に相当する。
消化のスピードなど考慮すべきことは多いが、あえてそれらを無視すれば豚を1日絶食させることは人が1週間以上食べないことに等しい。
生きるものをきちんと育てようということに落ち着く。

一方で、ある話を思い出す。
旅先のホテルで会った真珠を扱うおじさんの話だ。
10日に1度の頻度で真珠貝を海から引き上げてジェット水流を浴びせると真珠層を巻く早さが倍になるという。
生物は生死がかかると"能力"が覚醒することがある。
真珠貝はこの類だろう。

豚の話に戻る。
確かに良い餌を与えてストレスがない環境で育てることは良い。
もし豚の"能力"を覚醒させたらどうなるのだろうか…
2015/01/30 22:59
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