2016年にとんかつ栄ちゃんで食べた限定とんかつを振り返る

今年のとんかつ栄ちゃんは初登場の豚に沸いた。
従来の豚より旨い"プレミアム"群を含めて の8種類もの豚がとんかつ栄ちゃんで初登場した。
しかも濃い味を好む常連さんの心をつかむ旨い豚が多い。
種(血統)や肥育方法は豚ごとに異なる。
蓮根豚や栗旨豚のように豚に与えるエサに特徴を持たせる場合もある。
私はミネラルが肉の味に豊かさを与えると推測する。
ミネラルを多く含む蓮根や栗などの木の実は肉の旨さに寄与するのだろう。
今年すでに数回出た豚もあるが、来年も楽しみな豚ばかりだ。

今年のとんかつ栄ちゃんは初登場の豚だけではない。
恐らくとんかつ栄ちゃん史上初めて抜本的な改良が行われたものがある。
それはパン粉とソースだ。

パン粉は塩分が少なくてガスで焼成したものになった。
味の単純な足し算だが、パン粉に含まれる塩分ですら肉の味を変える。
肉の味を純粋に求める"とんかつ原理主義"は味の邪魔を許さないw
パン粉が変わり、確かに肉の味をクリアに感じる。

そして、野菜がベースのソースが限定とんかつにつくようになった。
ソースは、肉が含まない酸味や苦味を補い、総合的に豊かな味を生む。
マスターのソースも良いが、新たなソースは味のバランスがより良いようだ。
しかし千切りキャベツにはマスターのソースが合う。

パン粉とソースの改良と相まって、初登場でない豚の味も底上げされた。
さらに旨いw
もちろん、旨い豚はそれを育てる方々の努力の結果でもある。
その方々に感謝する。

料理は純然たる物理学の実験であると私は主張する。
ここで言う物理学は化学を含む。
普通の実験との違いは摂取して体を作るものを作る目的があるか否かである。
とんかつの場合、肉に衣をつけるのは粘性が関係し、肉に熱が伝わるのは熱力学の範疇にあり、旨みや香りは原子や分子の量で決まる。
そういう意味でマスターは実験のスペシャリストと言えるw

実験において、素材により生成物は異なる。
衣をつける鶏卵を別の素材で試すとどうなるか、パン粉になる小麦の種類を変えるとどうなるかなど、欲深い私は旨さの追求のためにあらゆる疑問を持つ。
その欲はT1につながったw

己の信念を言う"こだわり"を漢字で"拘り"と書く。
拘束からわかるとおり、こだわりとはある種の制限を意味する。
様々な試行の末に得た知識は捨て難い。
しかし周りが変わる状況において、その知識が常に正しいとは限らない。
そのような知識を"断捨離"しなければ、新たな境地に達せない。
己が作ったやり方をぶっ壊せるのは己しかいないのだ。

マスターの日々の努力は新たな境地に達するための原動力である。
だからとんかつ栄ちゃんのとんかつはいつも旨い。
マスターとマスターをサポートする女将さんや秀ちゃんに感謝する。
2016/12/23 19:47
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